さすらい人幻想曲

旅と写真 X100T X-T1 X-T3 RICOH GR

6月・京都洛北(1)正伝寺の庭園

車で京都洛北のお寺に行ってきた。京都市内の道路は基本的にいつも混んでいるが、6月の平日は空いている。私が出かけた日は平日で、特に大きな行事もない日だったので、大きな渋滞にも巻き込まれず、スムーズに京都市内を縦断することができた。


6月は、お寺と新緑という組み合わせが楽しめるので、可能な限り、お寺や庭園を見るために出かけていく。桜や紅葉の時期以外でも、観光的に、近年、青もみじが盛んに宣伝されているが、大きな休日もないシーズンなので、現状、それほど混雑しない。観光的には不便な場所を選べば、団体客や外国人観光客もまだまだ少なくて、古き良き京都の情緒を一人で堪能することもできる。


カメラは『X-T3』に14mmレンズを付ける。サブとして、『X100T』をカメラバッグに入れる。フィルムカメラの感覚でいうと、今日は21mmと35mmの画角の写真が撮れることになる。ズームの方が便利だし、21mmは超広角なので難しい。また『X100T』に付いているレンズはF値によって描写が変わる。意外に癖玉だ。しかし、せっかくの休み、癖のある画角の単焦点、不便を楽しみたい。



家のドアを閉めてからそれほど時間が経っていないのに、私は正伝寺の山門の前にいた。道が空いていたので、京都市内を車で行くことはそれほどストレスを感じなかった。ここに立ったとき、私は確信した。ほとんどのお寺を巡ったはずで、正伝寺にもきっと行ったことがあったはずだと考えていたが、この風景は全く記憶になかった。正伝寺を訪れるのは初めてだった。京都には過去に住んでいたこともあり、離れてからも数えきれないくらい通ったが、初めてだった。どうして今まで行く機会がなかったのだろう。近くまで行ったことはあったのに。



参道の坂はそれほど急ではない。ちょっとしたハイキングの気分で、なだらかな参道を上り、境内に近づいていく。



この風景に見覚えがあるのは、CMや写真でもとても有名な風景だからだ。正伝寺の方丈庭園は、岩の代わりに、白砂とサツキの刈込みで構成されており、遠くには比叡山を望む借景庭園となっている。別名「獅子の児渡しの庭」とも呼ばれている。石でなく刈り込みで表現する斬新なアイディア。京都広しとはいえ、こんな庭園はほかにない。また、実際にここに立ってみると、実物はイメージよりも横にも広く、奥行きもあって、さらにスケールが大きいことを知る。




「正伝寺」で検索すると、意外にも「デビッド・ボウイ」の名が一緒に出てくる。京都の古いお寺である正伝寺と世界的ロックの歌手デビッド・ボウイの縁と聞くと奇遇だが、その話は最近になって特によく知られるところとなった。宝酒造のCM撮影で日本を訪れたデビッド・ボウイがこの庭で何かを感じ、涙を流したエピソードが日経新聞に載った。正伝寺は観光客も少なく、周辺の音も、鳥のさえずりくらいしか聞こえない。静寂の中、リラックスした気持ちで縁側に腰かけ、彼が何を感じたのか、思いを馳せる


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デビッド・ボウイを聴きたくなってきた。


◆今回の撮影に使用したカメラとレンズ

FUJIFILM 単焦点超広角レンズ XF14mmF2.8 R

FUJIFILM 単焦点超広角レンズ XF14mmF2.8 R