さすらい人幻想曲

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奈良の紅葉2017①女人高野・室生寺

平日の休みに、室生寺に行ってきた。混雑が予想される紅葉の季節だが、奈良は京都と比べると断然マシで、結構メジャーなところでも、ゆっくり見て歩くことができる。例えば、紅葉の名所の室生寺であっても。

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室生寺で、何が素晴らしいと言うと、まずは仏像である。その上、今の季節、紅葉の盛りである。私は室生寺には何度か行っているのに、なぜか、紅葉の季節には行ったことがなかった。ちょうど特別拝観の季節であり、室生寺まで紅葉を見に行ってきた。

駐車場から行くと、室生寺は川の向こうにある。太鼓橋を渡ると室生寺の境内である。境内に入ると本坊の門があり(閉まっている)、門にかかるように色とりどりの紅葉が見えている。

室生寺のもつ穏やかな雰囲気は、女人高野であった歴史と無縁ではないだろう。古来の高野山は女人禁制であったが、室生寺は女性の参拝を受け入れてきた。そのため「女人高野」と呼ばれてきたのだが、私は男なのにその雰囲気が心地よく、特に用事もないのに度々出掛けている。室生寺独特の温かみのようなものがある。とても好きなお寺だ。

室生寺は穏やかな雰囲気を持っているのに、ハードな行程を強いられる。室生寺と言えば石段、石段、石段で、一番上の奥の院へは、軽いトレッキングみたいな登りの石段が続く。仁王門をくぐり、金堂下の鎧坂を登るくらいはまだ序の口で、五重の塔まで行ってもまだ三分の一程度。そこから永遠にも感じられる長い石段を登る。石段の左右には、石仏が並ぶ。

金堂横からの撮影。金堂の仏像は、オールスターみたいで、十一面観音、文殊菩薩、釈迦如来をはじめとして、前面には十二神将が並ぶという壮観なラインナップを誇る。そうした素晴らしい仏像なのに、普段は金堂の回廊越しに外から拝観するのが常だが、秋の特別拝観の期間は、金堂内に入ることができ、外陣から拝観することができる。回廊越しと外陣ではせいぜい2~3メートルしか違わないのかもしれないが、その2~3メートルが違うのである。私は一度拝観した後、帰りにもう一回、入らせてもらい、素晴らしい仏像を拝観した。

こちらの紅葉は黄色い。室生寺の境内は高低差があり日光の当たり具合も様々なので、まだ見頃を迎えていないエリアもある。

本堂(灌頂堂)から五重の塔を臨む。本堂には美しい如意輪観音(通常非公開)が鎮座するが、いまは不在となっている。

五重塔の付近は紅葉がない。この周辺はシャクナゲの名所となっている。

奥の院までの急な石段を登り切る。奥の院の常灯堂は下から組み上げられた木組みによって丘からせり出したような作りとなっていて、周囲が回廊となっている。回廊のベンチに座り、風に吹かれるまま、小休止をとる。御影堂の前の木に室生寺の御詠歌が刻まれていた。

わが身をば 高野の山に とどむとも 心は室生に 有明の月

再び仁王門まで戻ってくると、紅葉が日光を受けて燃えている。

三宝杉。三本の杉の間に盛りを迎えた紅葉。

こういうものを見たかったのだった。室生寺の紅葉は評判通りの美しさだった。

仏像の特別拝観と紅葉の見頃。良いものを見せていただいた。私は室生寺を後にして、次の目的地に向かう。

◆今回の撮影に使用したカメラ